噛み合わせの重要性

健康と美しい笑顔のために

健康と美しい笑顔のために

歯の機能には、噛み砕く・飲み込む・発音するなどがあります。歯並びが乱れていて噛み合わせが悪い場合、歯は正しい機能を果たせません。また虫歯や歯槽膿漏になりやすく、口臭の原因にもなります。胃腸にも負担がかかるばかりか、筋肉や骨格など体全体にも悪影響をおよぼします。肩こり・腰痛あるいは、肥満や便秘の原因になることも。歯並びが原因で生じる体への影響は、思っている以上に多いのです。

矯正治療は、歯の機能(噛み砕く・飲み込む・発音する)を回復させるだけでなく、体のバランスを理想的な状態に蘇らせます。新陳代謝も活発になり、免疫力も高めます。見た目だけでなく、心と体の健康にも大切なことなのです。

歯科コラム 正しい噛み合わせの真実―日本人の顎は本当に小さくなったのか―

食べ物の変化が顎に影響を与える?

日本の食卓に並ぶものは、硬い食べ物から軟らかい食べ物へと変化していきました。すなわち、「自然な味を大切にした食べ物」から「調理しすぎた食べ物」へ変化したということです。これはもう皆さんもご存じかと思いますが、私はもう1つの変化、つまり水物(みずもの)が食卓を占領しているということも感じています。

日本の食卓には塩分(各種ミネラル)、タンパク質を補給しかつ食べ物を口の中で混ぜやすくしてくれる味噌汁という世界に誇れる食べ物がありますが、いつ頃(おそらくここ10数年のことでしょう)からかは定かではありませんが、食卓には冷たいお茶や水などが陣取り始めました。今の子どもたちは、食べ物を口に入れ少し噛んで水でお腹の中に流し込むという状態です。このような現状は正しくはありません。物を噛まないということは、動物の社会では「死」を意味します。

軟らかい食べ物が顎を小さくしたという話は有名ですが、それは果たして本当なのでしょうか? 食べ物の変化だけでは、人種固有のDNAが変化するとは考えられません(しかも20年程度という短い期間で)。

噛まなくなったことが、歯並びの乱れを引き起こす

日本人の歯並びは悪くなってきています。ではなぜなのでしょうか? それは、食事の際によく噛まなくなったからなのです。水やお茶などで食べ物を流し込むようになったこと、軟らかい食べ物を食べるようになったことが原因だと推測されます。

ここで1つの例を出します。たとえば、フィジーやミクロネシアの人々の主食は軟らかいタロイモです。ですが、ミクロネシア系のKonishiki、曙、武蔵丸の歯並びは悪くありません。顎も小さくはありません。つまり、軟らかい食べ物だけでは顎は小さくならないのです。

なぜ、顎が小さくならないのに歯並びの悪い人が増えたの?

第一大臼歯の比較図

写真1(奥の歯)と写真2(正常)と見比べると分かるように、第一大臼歯(6歳臼歯)が舌の方向に倒れていることが確認できると思います。これは、歯列のアーチを狭くしているということです。

ここで大切なポイントがあります。それは、噛む回数が多いと歯は直立(起き上がる)してくるということです。つまり骨格の変化ではなく、機能の変化が日本人の歯並びに影響しているのです。とはいえ、下の写真のような場合や、遺伝的な要素、骨格の状態により臼歯部が起き上がらない場合もあります。この場合は外部からの力(矯正力)が必要なのです。

では、外部からの力でどのくらい起き上がるのかというと、距離にして約1mmと考えています(正常咬合の場合と比較して)。ということは、歯槽頂線上内側から外側に向かって1mm左右で約2mm拡大できたら、半円なので「半径×2×円周率÷2」という計算式で考えると、理論上は約3~4mmのスペースが確保できることになります。これだけのスペースができれば、大概の前歯部のガタつきや臼歯部の傾斜などは正常な状態にできるのです。

本当に大切なこと

数多く、そして左右バランス良く噛むことが重要なのです。

正しい噛み合わせは不正咬合の乱れを防いでくれることはもちろん、内臓などへの負担も軽減してくれます。そして左右正しく噛むことは、左右対称な顔貌と美しい笑顔、そして整った体のバランスにつながります。

結論

噛むことで顎が大きくなるのではありません。歯が正しい位置に起き上がり、正しい歯並びになるというのが本当なのです。